★キャンペーン序章★ 赤き星の魔王は己に掛けられた封印を解き天界への門を開くためにあらゆる方法を探していた。 天界への門を開く。 それにはピロカルピン家が代々受け継ぐ『箱舟』と、ニルスが己の内に宿す『神の力』が関係していた。 魔王の眷属である“灼熱”のナールはまず天界への門へ至るべく『箱舟』に目をつけた。 “豊穣の神”アエマの力が満ちる『箱舟』を瘴気で満たして“魔”へと堕とし、これを用いて天界を目指そうとしたのだ。 だがこれは内部の森の一部を焼き払った所で撃退、封印されてしまった。 それから長い月日が経ち、外部に干渉する事ができる程度の力を取り戻したナールは、次に神の力を宿した子供たちに目を付けた。 “始祖の紋章”を持つもの。 神の子らはその力にて門を押し開くであろうと考えて。 だが、彼らも魔族に組する事はなかった。 ならばと、ナールは己の手で神の力を持つ子を創り出そうとした。 世界中から名のある錬金術師、またはその能力を持つ魔族を集め、ひとつの組織を作り上げた。 名を“銀の黄昏錬金術師”と言う。 彼らは多くの神の子を材料にして、彼らが持つ破魔の力を解析するために、それに似た力を持つ兵器を開発した。 そして神の力を宿す生命は生み出すに至らなかったが、聖者の残滓“聖骸”を動力核にして動くことで破魔の力を発現する事には成功した。 これを彼らは自分たちをゼロ(無)にする個体として“試作品零号<プロトタイプ・ゼロ>”と名づけた。 ナールはこれを足がかりに神の力を手に入れることが出来ると期待した。 しかしある一人の錬金術師の造反でそのプロトタイプは組織から連れ出されてしまった。 それから7年ほど同系体を作るのだが、同じ力を持つものはついに生み出されなかった。 そして3年前、幼かった頃のニルスが住んでいた村に魔族が現れるようになった。 彼ら魔族はそこで何かを探していたらしい。 だが、その魔族たちは神殿より派遣されてきた冒険者集団“ストームライダーズ”によって撃退される。 その時に戦いに巻き込まれたニルスは取り憑かれた魔族を身体から追い出すために“太陽神の紋章”の力を無理矢理その身に移される事になった。 何の素養もない者への過剰な力の供給。 それは神の力の暴走と言う事態を招いた。 光り輝く“太陽の子”と化したニルスは反する属性である悪魔を倒さんと周囲を光でなぎ払い、己が住んでいた村と住人と、肉親を消していった。 事態が収束した時、地形は変り、そこに村は存在していなかった。 それから・・・ニルスを保護したストームライダーの一行は、力の制御の方法と戦うための技を彼に教えていった。 一人になっても魔族と戦えるように・・・。 その身に宿してしまった“神の力”に負けないように・・・。 今、その蒔かれた種は芽を出し始め、ニルスを年齢にそぐわぬ程の力を持つ戦士へと育ち始めた。 ――― 現在 ナールはある事件により封印から解き放たれ自由を得た。 だから彼女は再開した。 主が求める“天界への門”を開く方法を探すことを。 邪神クロムクルーが同じように一人のヴァーナを利用して扉を開こうとしている事にも気付かずに・・・。